【いなかの職場体験物語】我が家に中学生が来た話

我が家に地域の中学生が来た話のイメージ写真

遡ること5月のとある日。
ご近所さんからこんなLINEが来ました。

ご近所さん

いなかグラフィ(実際は本名です笑)さんこんにちは!
地元の○○中学校の職場体験という行事がありまして…

今回デザイナーさんの仕事が見てみたいという意見が出たようで、ちょうど近くでデザイナーをしているいなかグラフィさんがいるじゃないか!ということで話を聞かせていただきたくて声をかけさせていただきました!

ん?!
し、しょくばたいけん…?
職場体験って学生たちがお店や企業を見学するやつですよね?笑

確かにぼくは現在フリーランスのデザイナーとして活動してはいるのですが、職場といっても家の隣にあるガレージが職場です。
言うなれば完全に家です。笑
これが果たして職場体験といえるのか…という不安がよぎりました。

とはいえ、デザイナーという仕事は個人的にすごく素敵な仕事だと思っている(大変なことも多いです笑)し、自分がしている仕事に興味を持っている子がいるなら!という思いもあったので、とりあえず詳しい話を聞いてみることにしました。

いなかならではの職場体験?!

後日、ぼくが住んでいる地域の中学校の先生からご連絡をいただき、詳細をお聞きしました。

どうやら昨今のパンデミックの影響で、職場体験学習自体が3年ぶりということ。
全校生徒が約30人しかおらず、パンデミックの中では課外授業が行えなかった。
職場体験学習に参加する生徒は十数人で、今回担当していただきたい生徒は一人2日間を使って、どんな仕事をしているかや、ちょっとした仕事を体験させてもらいたい。
パンデミックの影響で様々な行事が行えなかった(3年ぶりの職場体験学習だそうです)ので、今年の生徒には興味をもっている仕事を体験させてあげたいということでした。

学校の先生のお話を伺う中で、ぼくたち大人が過ごす3年間と、青春真っ盛りの子たちが過ごす3年間が大きく違うことを再認識させられました。
中学校や高校だと3年間あれば入学から卒業までまるごとですもんね…
そんな中でやっと再開される職場体験学習に協力できるなら喜んで協力させてもらおうと思いました。

ただ、仕事の関係上、実際に進行中の仕事を見せることは難しいので、

  • 公開済みのものに対してこういう仕事をしているという形で問題ないか?
  • 職場というか家で仕事をしているので、家に来てもらう形になること
  • 妻は会社員でリモートワークなので、一緒の空間で見学してもらう形になること

上記の内容を相談して、ご了承をいただけたので今回の職場体験学習を受け入れさせてもらうことになりました。

職場体験ってなにするんだっけ?

受け入れをすることになったのはいいものの、ぼくは今まで学生の時に職場体験をした記憶がありません…
一体なにをすればいいんだっけ?と受け入れることが決まったあとに悩みました。笑

妻に聞いてみると、中学生の時に某ファミリーレストランで1日職場体験をしたことがあるそうで、注文を受けたり食器を洗ったりしたそうです。
感想を聞いてみましたが、そんなに面白くはなかったそうです。笑
実際ぼくの普段の仕事もそんなキラキラしたものではなく、黙々とPCとにらめっこをして1日を過ごすことが多いので、ただ見るだけだと絶対に眠くなってしまいます…笑

今回は、見学に来る生徒は一人だし、デザイナーに興味があってうちに来てくれることがわかっているので、なんとなく職場体験したけど面白くなかった…ということは避けたいところです。

なので、
1日目は自分がどんな仕事をしているかを公開になったものを見てもらったり、自分がデザイナーになりたいと思ったきっかけなどを中心にお話する日。
2日目は実際に自分で手を動かして、オリジナルの名刺を作ってもらう(生徒が一人なので、印刷まできちんとする)。
という感じで進めることにしました!

受け入れの打診があってから、学校の先生とはどんな生徒が来るかや、職場体験にあたってお願いしたいことなどの情報は事前に連絡を取り合っていたので、上記の内容を事前に学校側にも相談することができました。

都会の学校や生徒数の多い学校だとこんな感じで直接担当の先生と課外授業を進めることは難しいだろうなぁと思いながら、いなかならではの課外授業だなぁと感じました。

ドキドキの職場体験学習が始まる!

そんなこんなで迎えた職場体験学習の初日。
ドキドキしながら、神棚の水を替えたり仕事場を履き掃除したりと、毎日のルーティンをそわそわとしながら終えた頃に、今回の主役でもあるS君との対面の時を迎えました!

よくよく話を聞いてみると、家もめちゃくちゃ近所だしお父さんとも面識がありました。笑
妻も以前、地域の催しでS君の親戚の方たちとクップを一緒にしたそうです。
犬の散歩でもうちの前をよく通るそうで、世の中思っていたよりずいぶん狭いんだなぁと感じました。

どうやらお父さんの影響で、グラフィックデザインに興味を持ったようで、今回の職場見学でデザインの現場を見てみたいと思ったそうです。
ぼくたちにはまだ子どもはいませんが、子どもが自分の仕事に興味を持ってくれるなんて、S君のお父さんめちゃくちゃうれしいだろうなぁと思って、思わず顔がほころびました!

1日目は、まず職場(家のガレージ笑)の案内をして、どんな仕事をしているかや、一日の流れを軽く説明したりするところからスタートしました。
S君も事前に質問を考えてくれていたみたいで、仕事に関する質問に自分なりに感じたことを答えていきました。

基本的にはデザイナーという仕事は、世間一般の人が持っているようなイメージのキラキラとした感じではなく、地味なことの積み重ねで大変なこともたくさんあります。
この仕事に興味を持ってくれているからこそ、いい面も大変な面も今まで自分が経験した範囲の中できちんと伝えることを心がけてお話をしました。
普段こうして中学生と話す機会がないので、とても新鮮でS君も終始真剣にメモをとってくれていました。
やっぱり自分が興味のあることだと真剣になれるんだなぁ…

お昼は家のリビングで、僕、妻、S君の3人で。
普段、中学生とお昼ごはんを食べることもないので、部活のことや好きな音楽のこと、学校はどんな感じか聞けたりしたのもなんだか自分も中学生に戻った感じがして、すごく楽しかったです!

途中で学校の先生も訪問してくださって、職場体験の様子を写真に収めたりしていました。
先生とS君が話している様子もなんだか自分も中学生に戻ったような感じがしてほっこりした気持ちです。笑

そんなこんなで、あっという間に一日目が終わっていったのですが、自分自身もすごく勉強になった本を読んでもらうことにしました。

こちらは小学生向けの本なのですが、デザインの仕事がとてもわかりやすくまとめられていて大人の自分が読んでもすごく勉強になった本です。
この本はほんとにオススメなので、興味がある方はぜひ読んでみてください!

2日目。初めての名刺制作を体験!

最終日の2日目。
この日は実際に手を動かしてもらおうと思い、実際に自分の名刺を作ってもらいました。
自分自身の名刺を実際に作ってもらう一日。

午前中は、実際に名刺をたくさん見てもらって、まずは手書きでどんなデザインの名刺を作るかノートにアイデアをまとめてもらって、午後からはいよいよIllustratorというソフトを使って自分自身の名刺をデザインしてもらいました。
前日に名刺用のフォーマットは作っていたので簡単な使い方の説明をして、わからない所があれば聞いてもらうという形でデザインに集中してもらいました。
作っている横であーだこーだ言われるのは集中もできませんし。笑

担当の先生や校長先生も来てくださって、デザインをしているS君と話をしていました。
校長先生は自分の名刺を作っていることにびっくりしていましたが。笑

この日は、S君も名刺のデザインに没頭していてあっという間に終了時間が来てしまいましたが、無事にデザインが完成しました!
自分がデザインしたものが実際に出来上がって来た時のうれしさを体感してほしかったので、この日デザインしたものは実際に印刷にまわして、後日渡すということをS君に言うとすごくうれしそうな顔をしていたのを思い出します。

自分もいまだに印刷から上がってきたものを見るとすごくうれしいんですよね。
この瞬間はどれだけ経験しても変わらずわくわくする瞬間で、そこまでをしっかり体験してほしかったんです。
名刺が出来上がったらお父さんに連絡する約束をして、あっという間の職場体験学習の2日間が幕を閉じました。

初めての制作物とのご対面!

名刺づくり体験で作った名刺
S君が初めてデザインした名刺!よくできてます!

体験学習の翌週末。
S君のお父さんに名刺が届いたことを連絡しました。

お父さん

本人に伝えたら、自分で取りに伺いたいそうです。
出来上がりを楽しみにしております!

と、お返事が来たのでぼくもワクワクしながらS君を待っていると、お父さん、お姉ちゃんも一緒にうちに来てくれました!笑
家もめちゃくちゃ近いですしね!

初めて自分でデザインして、印刷に出してできた名刺を手に取ったS君のうれしそうな顔はいまでも忘れられません!
ぼくも初めて自分でデザインしたものが印刷から上がってきた時は同じような顔をしてたのかもしれないなぁと、お父さんやお姉ちゃんとうれしそうにしているS君を見て、なんだか涙がでそうになりました…
年を取ると涙もろくなってしまっていけませんね。笑

初めての職場体験学習を終えて

ひょんな事から始まった今回の職場体験学習。
中学生の課外授業ではありましたが、振り返ってみるとぼくの方がたくさん勉強させてもらったと感じた2日間でした。
改めて自分の仕事を自分の言葉で話すことで、「あ、こんなこと考えてたんだなぁ」思うような事がたくさんありました。

山口に来て2年目。
福岡にいたころとは全然違う環境や人間関係があって、そのどれもがとても新鮮で新しい経験を日々させてもらっています。
もちろん大変なこともありますが、夫婦二人でこの場所に移住してきてよかったなぁと心から思います。

まだまだできないことや実現したいこともたくさんあるので、これからも仕事にプライベートにと、しっかりとこの場所でがんばっていこうと思います!

この記事を書いた人

Takashi

山口県下関市出身。
フリーランスのデザイナーとして活動しています。
写真を撮るのが好きです。
2022年3月に山口市に移住してきました。
移住に関することや自分たちのライフスタイルなどを備忘録として残していきたいと思います。