わたしの田舎イヤイヤ期
「はぁ〜ほんまにさぁ、なんでこんな不便な場所に家買ったん?わたしは将来、絶対もっと駅近で便利な家買うわ!」
社会人になったばかりの頃、残業も飲み会も多い会社に勤めていたわたしは、毎晩のように終電で帰っては不満を母に漏らしていました。
大阪出身というと、なんだか都会育ちのように聞こえがちですが、わたしは田園風景が広がるような田舎育ち。
オフィス街に通う華やかな社会人生活が始まると、終電や終バスを毎日気にしなければならない実家暮らしはものすごく不便!

母は「子どもを育てるにはすっごくいい場所やったよ〜」と言いましたが、当時のわたしはとにかく田舎暮らしが嫌でした。
街中での一人暮らしを始めようかなとも思いましたが、実家暮らしとは比較にならないほどの出費がかかる生活を思うと、その勇気もすぐには出ず…
次第に「関西圏で働いている以上は何かと踏ん切りがつかんなぁ」と思うようになり、ちょうど転職を考えていたわたしは福岡での求人を探すことに。
運よく希望していた仕事が決まったことで、福岡暮らしが始まったのです。
いつの間にか理想像になっていた田舎暮らし
そんなこんなで始まった福岡での生活も早5年。
福岡で結婚をして、自分の家族を持つようになりました。
夫と二人で将来の話をしていると、頭に思い浮かぶ未来の私たちがいるのは、なぜか地元に似た風景。
こんな暮らしがしたいね〜と話しながら理想の将来像を思い描いていくうちに、自然と田舎が恋しくてたまらなくなってきたのです。

犬を連れて、緑に包まれた公園を散歩。
深呼吸をすれば、土や草のにおいがする。
夜は虫やカエルの鳴き声を聴きながら眠る。
休日の朝は鳥の声で目が覚める。
(普段は通勤通学に時間がかかるので、早朝に目覚ましか母の「間に合わへんで!」という叫び声で起きていました笑)
こんな田舎での暮らしが実は自分の心身を癒してくれていたことを、ピカピカ光る街の楽しさに浸っていたわたしはすっかり忘れてしまっていたのだと思います。
いつの間にか、二人暮らしではもちろん、もし将来子どもが生まれたとしたらと考えるとますます田舎暮らししか考えられなくなっていました。
「そうかぁ、お父さんお母さんもこういう気持ちだったのかなぁ。」
そんなことを思うようになった今日この頃、ちょうどわたしは、母がわたしを産んだ年齢を迎えたのでした。