【古民家は本当に安い?】1年間いなかの物件を探し続けてわかったこと

古民家は安いのか?のアイキャッチ

さてさて、昨今のコロナ禍が拍車をかけているような感じのする地方移住ブーム
かくいうぼくらもその中の一人なわけですが、今流行りの古民家購入、セルフリノベーションなどなど…
地方移住は固定費も下がって、都市部ではないような広い家に格安で住めるというイメージがあると思います。
果たしてそれは本当なのか?
実際に移住を進めている2021年9月現在に、ぼくらが経験した範囲内でのお話になりますが、考えを述べていこうと思います。

地方に空き家はたくさん「あることはある」

空き家はあることはある。
だが、すぐ住めるとかいう幻想は抱くな。絶対にだ。
と言うのが、正直な感想です。

どうしてもいま住んでいる福岡市との比較にはなってしまうのですが、ネットからの情報や、伝聞ではなくぼくらが実際に移住に向けていろいろと見てまわったうえでの考えなので、そこらへんはご了承ください。
ぼくらが移住を検討する上で、見てまわった地域は福岡県、山口県の各地域です。

約1年をかけて、各地域を見てまわった中で、空き家自体はそれはもうたくさんありました。
ぱっと見でわかるような廃…空き家を含めるとそれはもうたくさん。

福岡の中心部などでは、おそらく物件の管理(戸建て、集合住宅)は不動産屋さんがしていることが多く、引っ越しを検討している人がすぐ住めるように、掃除や周りの環境の整備?をしているように思います。
空き物件のままだともったいないですからね…

管理がきちんとされているかどうかの違いはかなり大きい

昔ながらの和室

ところが、あくまで一般の人が想像する「田舎でスローライフ」みたいなイメージを抱いている地方という感じの地域に関しては、物件の管理が業者さんでなく、個人の方が所有、管理をしていることがほとんどです。
どういうことかというと、なんらかの事情で「所有している物件に住む人がいなくなった時のままの状態」というのがすごく多いということです。

物件を持つということは、当然維持費もかかってくるので(固定資産税etc…)人が少ない地域の住人が来るかどうかもわからない物件に対して、必要以上のお金をかけていつでも住める状態を保つというのはとてもハードルが高いんだと思います…
例えば、自分の親が所有していた実家の物件がだれも住まなくなった。でも自分には市街地にもう家があるし、通勤するにも不便な実家の物件。
そこをキレイにリフォームして賃貸物件として貸し出すとしても維持費に加えてリフォーム代や消耗品の交換など、かなりのコストがかかってきます。人が少ない地域だろうが都市部であろうが、物件にかかるコストはそう変わりません。

となると、現実的に考えて現状維持のままということになってしまいますが、家は人が住まないと傷むのが早いといわれている通り、すごいスピードで家が傷んでいくようです。
実際にぼくらがいくつも物件を見てまわった中でもそういう物件が多くありました。(家自体もそうですが、雑草や木がボーボーになっているとか…雑草の力は偉大ですw)

物件だけを見ればいいわけではない

というように、都市部とは違い地方の物件と都市部の物件では、判断基準が大きく違います。
地方移住に目を向けて移住を検討している多くの人が、都市部から地方への移住を考えている人が大多数だと思います。その判断基準の違いから、「地方は空き家が安く購入できる」というような考えになりがちです。

単純に言うと、「物件自体の金額はとても安い」ただ、「住める環境にするまでにおおきなコストがかかる。」
ということかなぁと思います。
もちろんそうじゃないパターン(誰も住んでいない期間がないor少ない場合etc…)もあるとは思いますが、自分の肌感ではそういう物件を現地に通わずに発見できるのは、ごく希なケースな気がします。

セルフリノベーションでコスト削減?

最近はYouTubeでも古民家を自分で改装、補修している様子を動画で投稿している人をたくさん見るようになり、食事中などにそういう動画を見ながらいろいろと参考にさせてもらっています。
ぼくらは購入予定の物件は業者さんにリフォームをお願いする予定なので、大がかりなDIYはする予定がないのですが、当初は自分たちでセルフリノベーションということも考えていました。

全部自分たちですれば、かかる経費は材料代やもろもろ諸経費だけで済むのでとても魅力的です。
キラキラした移住生活のスタートはセルフリノベーションからだ!なんて想像をふくらませていましたが、その夢?妄想?はあっという間に崩れ去るのでした…

判断が自分でできない

まず大きな問題なのが、この部分です。
一般の人(ぼくら含む)には、家のどこが悪いか、交換、修繕が必要なのかが自分で判断できません。
完成した物に対して、見た目の好みでの判断はできますが、目に見えない部分(家はここがしっかりできているかがとても重要だと後に伺いました。)をどうすればいいのかが全く見当もつかないのです。

当然家や建物(それ以外もほとんどそうですが)は、いろんな職人さんや技術者の方々が協力して、雨風をしのぐ、住み心地のいい家を目指して建てています。
そんなプロの技術を駆使して建てた家を、素人が判断して自分たちで造り直すことが果たしてできるのか?と…(自分の家なので、後々こまるのは自分ですしw)
電気関係や水廻りなどは、資格や申請が必要な部分も多く、自分たちではそもそもどうにもできないみたいな所もたくさんあります。

「古民家」ということはいままでの歴史がある

これは各々の考え方によるところが大きいとは思うのですが、ぼくらの場合、購入する家の家主さんにも同席していただいて、何度か内覧をさせてもらいました。
その中で、現在は誰も住んでいないけどどなたかが大切に住んでくれるならという想いで物件を売りに出されていることを知りました。

実際に、家主さんはぼくらが内覧する日に朝早く来て、窓を開けて換気をしてくれたり、いま住んでいるわけでもないのに、庭の草刈りをしてできる限りキレイに保つということをしてくださっています。
そんな大切にしてくださっている家を、購入したからといって素人が好き勝手にいじるのは個人的に失礼なんじゃないかと思ったのです。

もちろんぼくらは昔のままの生活をしたいわけではなく、住むならできるだけ快適に生活をしたいので、改装をしないというわけではありません。
ただ、上記のような想いで譲ってくださる家主さんに売った家がめちゃくちゃになっていると思ってほしくないという気持ちを持つようになりました。
なので、基本的なレイアウトは変えずに、基盤の部分で修繕が必要な部分を中心に、大きく形を変えずに現在のライフスタイルに合わせたリフォームを業者さんにお願いするという形をとりました。
自分の思った通りの家にしたいのであれば新築の家を建てればいいだけの話ですしね。

いろいろな物件を見て、現地の人に会ったり話したりして感じたこの気持ちが、移住を考え始めた時に比べて、とても大きく変わった部分です。

で、結局安いの?高いの?

古民家はほんとうに安い?のイメージ画像

書いているうちに熱が入ってしまって長くなってしまいましたが、結局のところどうなの?って思いますよね?
すいませんぼくもそう思います…

ぼくらの場合だと、まだ具体的な金額は本決まりではないのですが、トータルでいうと、
「新築を建てるより安いけど、決して安い買い物ではない。」
という感じでしょうか。
え?ふわっとしすぎ?
すいません。ただここらへんは物件によって、また各家庭の所得によって感じ方は大きく違うのでご了承ください。
実際のところ物件の金額、当初ぼくらが想定していた予算(キラキラ移住ライフwww)から比べると、結構金額は大きくなりました。それは実際に業者さんに見てもらったり、売買にかかる諸経費なども合わせての金額なので特に不満はありませんが、はじめから予想ができることかと言われると難しいと思います。

ただ、目先のお金や経費よりも、今回の物件に巡り会うまでにいろんな人に協力してもらったり、いろんな所に行ったりした経験の上で、こういう選択ができたということがとても自分たちにとって大きなプラスになったような気がしています。
これから移住を考えている人たちに、何かしらの参考になればうれしいです。


この記事を書いた人

Takashi

山口県下関市出身。
フリーランスのデザイナーとして活動しています。
写真を撮るのが好きです。
2022年3月に山口市に移住してきました。
移住に関することや自分たちのライフスタイルなどを備忘録として残していきたいと思います。