一人暮らしデビューの舞台「福岡」
以前ご紹介した通り、わたしは20代半ばで地元大阪から福岡へ移住しました。
福岡に来て、かれこれもう5年が経とうとしています。
わたしの地元は大阪の中でも田舎だったので緑豊かな公園が多く、幼い頃は外で遊ぶのが大好きでした。
仲のいい近所の友達は親同士も親しかったりするので、地域内には「何かあったら頼れる人」が必ず近くにいました。
いいことをすれば褒めてくれる、悪いことをすれば注意してくれる大人が家族以外にもたくさんいたし、町内で犬の散歩をするおじいちゃんと仲良くなってよく一緒に遊んでもらい、それがきっかけで犬が大好きになりました。
そんな環境で生きてきたわたしが福岡で一人暮らしを始めた当初は、毎日慣れないことだらけ。
大阪の田舎で暮らしていた頃は、日が暮れると最寄り駅から家までの道は真っ暗で車じゃないと帰れませんでしたが、福岡市内は24時間いろんなあかりが灯っているので深夜でも歩いて帰れるほど明るいです。
そして、これは一人暮らしあるあるなのかもしれませんが、マンションのエレベーターで住人と一緒になっても、目も合わせません。
スマホを触りながら無言の時が流れます。
隣の部屋に住む人の顔も名前も知りません。
「これが干渉されない都会の一人暮らしかぁ…!」となんだかそわそわしました。
田舎暮らしから一気にきらびやかな街暮らしに変わった当時は「最高に自由な生活だ」と思っていたわたし。
職場の同僚たちとも仲良くなって、福岡グルメも堪能し、まさに福岡暮らしを謳歌していたと思います。
実際、一人暮らしをする者にとって福岡は本当にいい街だと思います。
自転車があれば大体どこへでもいけるような距離感で、ご飯はおいしいし、物価も安いし、お店も山ほどある。
大阪と比べたら、何だか人もみんな穏やかで優しく思えました。(個人的には刺激が足りないこともありましたが 笑)
福岡での二人暮らしが始まって変わったこと
そんな「最高に自由な一人暮らし生活」を始めて数年、あっという間に時は流れ、夫と二人暮らしが始まりました。
比較的ファミリー層の多いエリアで暮らすようになると、同じマンションの住人と挨拶を交わすようになり、ちょっと感動したのを覚えています。
でも、あくまでお互いに名前も知らない関係です。笑
二人暮らしが始まってから、だいたい毎日ご飯とお弁当を作るようになったのですが、「ご飯作るのめんどくさいな〜」とか「外に出たくないな〜」という日もあります。
そんな時でも福岡市内であれば帰り道にいくらでもおいしいご飯をテイクアウトできるお店があるし、フードデリバリーで食べたいものをさくっと注文して手軽に自宅で楽しめます。
新幹線も空港もすぐ近く。
Appleの新商品が出たら即チェックしに行けるし、お洒落な雑貨屋、洋服店、飲食店…もう、なんでもあります。
とにかく便利な生活。
新しいものが溢れた街です。
そんな超快適な福岡の暮らしに疑問を持ち始めたのは、ふたりで将来のことを話すようになった頃でした。
これからもずっと福岡で暮らしていきたいか?
結婚をしてから、ぼんやりと今後のことを話し合うようになった私たち。
「将来子どもに恵まれたら?自分たちが年をとったら?今暮らしている福岡市での生活はどんなだろう」と考え始めてから、視点を変えて福岡の街を眺めてみると、いろんなことが気になり始めました。
知人から聞く、おませな小学生の流行りごとに複雑なママ友事情。
小さな子どもが一人で歩いている道を、すごいスピードでビュンビュンと通り過ぎていく自転車。
ここで私たちが思い描く子育てをしていけるだろうか?
もし自分たちの身に何か起きた時、近くに頼れる人はいるだろうか?
そのとき初めて「福岡じゃない」と思ったのです。
今も福岡は大好きで、この地を離れることに名残惜しさはめちゃくちゃあります。
でも、きっとわたしたちにとって、福岡は「暮らしたい場所」から「遊びに行きたい場所」に変わったんだと思います。
そんな経緯もあり、わたしたちは山口への移住を決意したのでした。